シリアル・データ(serial data)
「シリアル・データ(serial data)」について、DTM用語の意味などを解説
シリアル・データ(serial data)
シリアル・データ(serial data)は、並列に送られるパラレル・データに対して、直列に並べて送られるデータのことをシリアル・データと呼ぶ。DTMやデジタル・オーディオ機器の分野におけるシリアル・データ(serial data)とは、データを1ビットずつ、順番に時間軸に沿って転送する通信形式を指す。これは「パラレル・データ(parallel data)」と対をなす概念であり、複数ビットを同時に送信する方式とは異なり、シリアル通信では1本の信号線を使ってデータを逐次的にやり取りする。そのため、ハードウェア構成を簡素に保ちつつ、安定した長距離伝送が可能となる。シリアル・データはDTMを含むデジタル音楽制作の通信インフラにおいて、効率と信頼性を両立した中核的な情報伝達方式であり、その理解は機器間の接続や同期、信号の正確な伝送を行ううえで不可欠な知識となる。MIDIはこのタイプのデータである。
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)においては、まさにこのシリアル・データ通信が採用されており、31.25 kbpsの速度で8ビット単位のデータが1本の信号線を通じて送受信される。この方式により、MIDIキーボード、シーケンサー、音源モジュールなどが正確なタイミングで情報を共有し、演奏データ(ノートオン/ノートオフ、ベロシティ、コントロールチェンジなど)を忠実に伝えることが可能となっている。
シリアル・データ通信のメリット
シリアル・データ通信のメリットの一つは、誤差やノイズに強く、ケーブルや接続機器のコストを抑えられる点にある。特にDTMや音楽制作の現場では、複雑な信号線を避け、シンプルな接続構成で複数のデバイスを同期・制御するために、この形式が有効である。例えば、USBも内部的にはシリアル通信であり、MIDI over USBではこの仕組みによって高速・多チャネルのデータ転送が実現されている。また、シリアル・データはMIDI以外にも、デジタル・オーディオの分野ではS/PDIFやAES3などのプロトコルにおいても採用されており、デジタル信号を一方向に伝送する際の標準的な手段となっている。これらの規格は、オーディオ信号の品質保持を前提としつつ、ジッターやデータ欠損を防ぐためのクロック同期やエラーチェックの仕組みも含んでいる。
さらに、シリアル・データは単なる音楽制作用途にとどまらず、DAW内部でのオートメーションデータ、プラグイン制御、同期信号など、制御情報のやり取り全般に応用されている。とくにハードウェアとソフトウェアを統合する近年のDTM環境においては、シリアル通信の信頼性と拡張性が、制作の安定性を支える基盤のひとつとなっている。
「シリアル・データ(serial data)とは」DTM用語としての「シリアル・データ(serial data)」の意味などを解説
Published:2025/04/15 updated: