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デスクトップミュージック 用語辞典

イベント・リスト(event list)

Posted by 有世犬

「イベント・リスト(event list)」について、DTM用語の意味などを解説


イベント・リスト DTM用語

イベント・リスト(event list)

イベント・リスト(event list)は、シーケンス・ソフトで、あるトラックに記録されているMIDIデータを数値と記号によるリストとして時系列上に並べたウィンドウ。イベント・リストとは、DTM(デスクトップミュージック)やMIDI制作の現場で用いられる高度な編集機能であり、シーケンサーやDAW(Digital Audio Workstation)において、MIDIデータの個々のイベントを時系列順に一覧表示し、詳細に編集できる機能である。

一般的なピアノロールやスコア表示では、ノートやベロシーシティの視覚的な把握が中心となるが、イベント・リストはデータの内部構造に直接アクセスすることを可能にし、非常に精密な編集操作を可能にする。MIDIイベントとは、ノートオン/オフ、ベロシティ、コントロールチェンジ、プログラムチェンジ、ピッチベンドなどを指し、これらを個別に確認・修正できることが、イベント・リストの最大の特徴である。

イベント・リストは、各MIDIイベントを「タイムスタンプ」「チャンネル番号」「イベントタイプ」「値」の形式で一覧化する。タイムスタンプは、イベントが発生する時刻や拍子位置を示すもので、非常に正確なタイミング調整を可能にする。チャンネル番号は、MIDI信号がどのチャンネルに送信されるかを示す情報であり、複数のMIDIトラックやデバイスを扱う際に不可欠である。イベントタイプはノートオン、ノートオフ、コントロールチェンジなど、イベントの種類を分類し、値は具体的なデータ内容を示す。例えばノートオンイベントであればノート番号とベロシティ、コントロールチェンジであればパラメータ番号とその値が記録される。

イベント・リストの最大の利点は、タイミングや値の微細な調整を数値単位で行える点にある。ピアノロールでは目視での操作が中心となるため、ミリ秒単位の微調整や細かなベロシティ変化の正確な設定は困難であるが、イベント・リストでは直接数値を入力することで精密なコントロールが可能となる。

これにより、グルーヴ感の最適化、ノート重複や誤入力の修正、演奏表現の微調整が可能であり、プロフェッショナルなMIDI編集において欠かせないツールとなる。

さらに、イベント・リストは大量のMIDIイベントを効率的に整理・管理する機能も備えている。特定のイベントタイプだけを抽出して表示するフィルター機能や、範囲選択して一括で値を変更するバッチ編集機能を活用することで、大規模なMIDIトラックでも迅速かつ正確な編集作業が可能である。

例えば、全てのノートオンイベントのベロシティを10%上げる、特定のコントロールチェンジだけを削除する、といった操作を容易に実行できる。

DAWによっては、イベント・リストはオーディオ信号のタイムコードやイベントマーカーの管理にも応用される。これにより、MIDIだけでなくオーディオ編集や自動化データの精密制御も可能となり、トラック全体の統合的な編集環境を構築できる。また、イベント・リスト上でのコピー、ペースト、削除、インクリメント、トランスポーズなどの操作も直接的に反映されるため、従来の視覚的編集よりも細かな制御が可能である。

イベント・リストはまた、MIDIプログラミングや高度なサウンドデザインにおいても大切で、複雑なアルペジオ、ランダム化されたベロシティパターン、MIDIコントロールの微妙なオートメーションを正確に設定する場合、視覚的なピアノロールだけでは実現困難な表現を、イベント・リスト上で直接数値制御することで実現できる。これにより、シンセサイザーやサンプラーを駆使した精密なサウンドプログラミングが可能となる。

イベント・リストとはMIDIイベントを時系列順に数値で一覧化し、精密な編集や管理を可能にする機能である。タイミング、ベロシティ、コントロール情報、チャンネル番号などの詳細データを直接操作することで、精密な演奏表現やサウンドデザインを実現することが可能であり、プロフェッショナルなDTM環境において不可欠なツールである。イベント・リストを活用することで、トラックの整理、ミックス精度の向上、複雑な自動化処理の実現など、音楽制作全体の効率とクオリティを大幅に向上させることができる。

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