マルチバンドコンプレッサー（multi band compressor）
「マルチバンドコンプレッサー（multi band compressor）」について、DTM用語の意味などを解説
マルチバンドコンプレッサー（multi band compressor）
マルチバンドコンプレッサー（multi band compressor）は、コンプレッサーの効果を音域に分けて適用する事ができるエフェクター。音声信号を複数の周波数帯域に分割し、それぞれを個別にコンプレッション処理できるツールである。通常のフルバンドコンプレッサーが全帯域に一律の処理を施すのに対し、マルチバンドは低域・中域・高域などの特定帯域ごとに、独立してスレッショルドやレシオ、アタック／リリースを設定可能である点が最大の特長だ。帯域別に制御する、音圧調整の精密機器である。マルチバンドコンプレッサーは、単なるダイナミクス制御を超えて、帯域構造そのものを彫刻するような音響処理ツールである。適切に使えば、ミックスやマスターに驚くほどの明瞭さと一体感を与えることができるだろう。
帯域分割処理
たとえば、ミックス全体にパンチを持たせたいが、ベースが過剰に押し出されている場合、低域帯のみをコンプレッションして制御することができる。逆に、高域だけが耳に痛いと感じた場合も、該当帯域にだけ穏やかなリダクションを施すことで、他の音域を犠牲にせず滑らかに整えることが可能になる。この帯域分割処理は、マスタリングやミックスバス処理、ボーカルのディエッシング、ドラムバスのまとまり強化など、繊細なバランス調整が求められる場面で特に重宝される。ただし、各バンドのクロスオーバー周波数やゲインリダクションが不適切だと、音像が破綻したり、位相干渉を起こしてしまうリスクもあるため注意が必要。また、現代のマルチバンド・プラグインは視覚的なGUIとリアルタイムアナライザーを備えたものが多く、聴感と視覚の両面で判断しながら細かく制御できるのも利点である。
「マルチバンドコンプレッサー（multi band compressor）とは」DTM用語としての「マルチバンドコンプレッサー（multi band compressor）」の意味などを解説
Published：2025/05/17 updated：
