スルー・アウト(through out)
「スルー・アウト(through out)」について、DTM用語の意味などを解説
スルー・アウト(through out)
スルー・アウト(through out)は、入力と直結された出力のこと。主にMIDI機器に搭載されているMIDI端子の一種「MIDI THRU(スルー)」に関連する出力概念を指し、あるMIDI機器に入力された信号を、そのまま別の機器へ中継するための機能である。正確には「MIDI THRU OUT」とも呼ばれ、MIDI IN端子から受け取ったデータを、ほぼ遅延なくそのままスルー端子から出力する。、「スルー・アウト」はMIDI信号を効率よく複数機器へ配信するための重要なルーティング手法であり、ハードウェア主体のセットアップや多機能なMIDI環境を構築するうえで、その役割と制限を理解することは不可欠である。
スルー・アウト(through out)機能
スルー・アウト(through out)機能は、複数のMIDI機器をチェーン接続(デイジーチェーン)する際に極めて重要である。たとえば、1台のMIDIキーボードからの信号を複数の音源モジュールへ同時に送信したい場合、まず最初の音源のMIDI INに信号を入力し、そのMIDI THRU OUTから次の音源のMIDI INへ接続する。このようにして、信号を複数の機器へ順番に伝播させることが可能になる。スルー・アウトの動作は、「信号の変形を加えずそのまま通す」ことを原則としており、MIDI信号に関する時間的な遅延やデータの変化が最小限に抑えられている。ただし、デイジーチェーンの段数が多くなると、物理的な信号伝送の遅延やバッファ処理の限界により、タイミングずれや信号欠落が起こるリスクがある。そのため、実務では3~4段程度までに抑えるか、MIDIスルーボックスやMIDIパッチベイを用いて信号を並列に分岐させる方法が推奨される。
近年のDTM環境ではUSB MIDIが主流になっており、MIDI THRUの物理端子を搭載しない機器も増えているが、ソフトウェア的に「スルー出力」をエミュレートする設定(ソフトスルー)も一般的である。これにより、DAW内で受け取ったMIDIデータを、他のプラグインや外部機器へ転送することが可能となっている。
「スルー・アウト(through out)とは」DTM用語としての「スルー・アウト(through out)」の意味などを解説
Published:2025/04/16 updated: