エーアイエフエフ(AIFF)
「エーアイエフエフ(AIFF)」について、DTM用語の意味などを解説
エーアイエフエフ(AIFF)
エーアイエフエフ(AIFF)は、主にMacintoshでよく使われる拡張子、Audio Interchange Fileの略称。エーアイエフエフ(AIFF: Audio Interchange File Format)とは、Apple社によって開発された非圧縮のオーディオファイルフォーマットであり、主にMacintosh環境を中心に普及してきた形式である。CDクオリティと同等の44.1kHz/16bitのリニアPCMデータをそのまま格納できる仕様を持ち、音質の劣化を伴わない高忠実度なサウンド再生や編集が可能である点に特徴がある。WAV形式と並び、DTMや音響制作の分野における基幹的なフォーマットとして利用されてきた。
音質的にはWAV同様無圧縮。拡張子は*.aif *.aiff。アイフ。AIFFは拡張子として圧縮版である「AIFF-C」や「AIFC」も存在する。標準のAIFFは非圧縮PCMであるため、ファイルサイズは大きくなるが、波形編集やエフェクト処理、マスタリングにおける精密な操作において音質を損なわない利点が評価されている。プロのスタジオや放送業界では、制作段階ではAIFFやWAVのようなリニアPCMフォーマットが選ばれ、最終的な配信段階でMP3やAACといった圧縮形式に変換されることが多い。
AIFFは、音質を最優先するプロフェッショナルな制作環境において重要な役割を果たしてきたフォーマットである。非圧縮であるがゆえに容量は膨大になるが、その代償として得られる「音の劣化がない」という利点は、制作精度を重視する現場にとって欠かせない。
現在ではクラウド保存や高速通信環境の普及によって取り扱いの不便さも軽減されており、AIFFは依然として高音質オーディオファイルの代表的存在として位置づけられている。
AIFFとWAVの違い
WAVとの違いとしては、WAVがWindows/PC環境において標準的であるのに対し、AIFFはMacintosh環境における標準として長く利用されてきた点が挙げられる。しかし、両者ともPCMデータを格納する仕様に大きな差はなく、近年ではクロスプラットフォーム対応が進み、WindowsでもAIFFが扱えるようになり、MacでもWAVが標準的に利用できるようになっている。このため、ファイルフォーマット選択は環境依存というよりもワークフローや互換性の都合による部分が大きくなっている。
AIFFの仕様の中でも特徴的なのは、メタデータやループ情報などを柔軟に格納できるチャンク構造を採用している点である。IFF(Interchange File Format)を基盤とした設計のため、オーディオデータに加えて著作権情報、アーティスト名、アルバム情報といったテキストデータを格納できる。また、サンプラーやシーケンサーで使用する場合には、ループ開始点や終了点の情報を持たせて音色ライブラリとして活用することも可能である。このような拡張性により、DTMやサウンドデザインにおいても有用性が高い。
DTMにおけるAIFFの活用場面
DTMにおけるAIFFの活用場面としては、ソフトウェアサンプラーやハードウェアサンプラー用の音源素材、オーディオトラックのマルチトラック編集、バウンス処理後のマスター音源の保存形式などがある。特に非圧縮であることから、波形の切り貼りやループ処理を多用するエレクトロニック・ミュージックの制作では欠かせないフォーマットであった。近年はストレージ容量やネットワーク環境の進化により、AIFFの大容量性は問題になりにくくなり、むしろ「高音質を維持できるフォーマット」として再評価されている。
さらに、ハイレゾリューション・オーディオの普及とともに、AIFFも24bit/96kHzや192kHzといった高解像度フォーマットをサポートしており、オーディオファイル配信の分野でも採用される事例が増えている。クラシックやジャズといった音質重視のジャンルでは、WAVやFLACと並び、AIFFがマスター音源や配信用フォーマットとして選ばれることも多い。特にMacユーザーにとってはiTunesやLogic Proとの親和性が高く、制作から配信までのワークフローで自然に組み込まれている。
「エーアイエフエフ(AIFF)とは」DTM用語としての「エーアイエフエフ(AIFF)」の意味などを解説
Published:2025/04/15 updated: