タイム・ベース(time base)
「タイム・ベース(time base)」について、DTM用語の意味などを解説
タイム・ベース(time base)は、シーケンサーやシーケンス・ソフトウェアなどで使われる言葉で、4分音符がいくつのパルス(クロック、ステップ、ディック)から構成されるかを示す数字である。24、48、60、96、120、240、480などが使われ、数字が大きくなるほど微妙なタイミングのコントロールが可能になる。タイム・ベースはDTMにおける時間解像度の根幹を成す技術概念であり、その設定と理解は、精密かつ表現豊かな音楽制作において欠かせない。正確なタイミング制御を行うための土台として、MIDIの基盤を支えている。同じ意味で「分解能」、「音符分解能」という言葉もよく使われる。
シーケンサーやDAWが内部的に時間をどの単位で処理・管理しているかを示す基準
DTMにおける「タイム・ベース(time base)」とは、シーケンサーやDAWが内部的に時間をどの単位で処理・管理しているかを示す基準のことであり、主にMIDIデータのタイミング解像度(分解能)に関わる重要な概念である。これはしばしば「音符分解能」とも呼ばれ、「PPQN(Pulses Per Quarter Note)」、すなわち四分音符あたりのパルス数で表現される。たとえば、タイム・ベースが「480PPQN」の場合、1拍(四分音符)を480の単位に分割して、ノートオン/ノートオフ、コントロールチェンジ、ピッチベンドなど、あらゆるMIDIイベントをその精度で記録・再生する。数値が高いほど、より細かく、より滑らかなタイミングの変化や表現が可能になる。これにより、演奏のグルーヴ感やレガート、アクセントの微調整といった、人間的なニュアンスの再現性が高まる。
しかし、分解能が高ければ高いほどよいというわけではなく、タイム・ベースの数値が極端に大きいと、MIDIエンジンの処理負荷が増し、CPUやメモリのリソースを不必要に消費する場合がある。そのため、多くのDAWでは内部的に高精度なタイム・ベースを使用しながらも、実際の操作画面では適度なグリッド(1/8、1/16、1/32など)に基づいて表示・編集が行われている。また、DTM環境によっては、テンポ情報と連動して音楽的なタイム・ベース(テンポ・シンク)と絶対時間的なベース(ミリ秒・サンプル単位)の両方を切り替えて使用できる仕様となっている。たとえば、テンポに依存しない効果(ディレイのミリ秒指定など)を設計する際には、絶対時間ベースが有効となる。
「タイム・ベース(time base)とは」DTM用語としての「タイム・ベース(time base)」の意味などを解説
Published:2025/04/16 updated: