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スレッショルド・レベル(threshold level)

Posted by 有世犬

「スレッショルド・レベル(threshold level)」について、DTM用語の意味などを解説


スレッショルド・レベル DTM用語

スレッショルド・レベル(threshold level)

スレッショルド・レベル(threshold level、「しきい値」ともいう)は、回路や機器で、入力があるレベルを越えると動作を開始する、そのレベルをスレッショルド・レベルという。レベルが電圧であるときには、スレッショルド電圧ともいう。DTMにおけるスレッショルド・レベル(threshold level)とは、主にダイナミクス系エフェクト(特にコンプレッサー、リミッター、ノイズゲートなど)の動作を開始させる基準となる音量レベルを指す重要なパラメータである。この値を境界として、入力信号がスレッショルドを超えたかどうかに応じて処理が適用されるか否かが決まる。スレッショルド・レベルは単なる開始条件というだけでなく、音楽全体の表情や印象を大きく左右するダイナミクス処理の「トリガー」として機能するパラメータである。
たとえばリミッターは、あるレベル以上の入力信号について増幅率を下げるように働くが、その「あるレベル」がスレッショルドであり、ツマミで任意に設定できる。あるレベル以下の信号に対して働くノイズ・ゲートなどでも同様である。また、シリコン・ダイオードでは、正しい方向に電圧をかけても、約0.7V以上でないと電流は流れない。これもスレッショルド電圧である。たとえばコンプレッサーでは、入力信号がスレッショルド・レベルを超える瞬間からゲインリダクションが発生し、設定されたレシオ(圧縮比)に従って信号の音量が抑えられる。逆にノイズゲートの場合、信号がスレッショルドを下回ったときにゲートが閉じ、音が遮断される。リミッターにおいては、スレッショルドは絶対的な上限として機能し、それを超えるピーク成分を完全にブロックまたはクリップさせる処理が行われる。

スレッショルドの設定値は、ミックスの目的や音源素材によって大きく異なる。高すぎればダイナミクス処理はほとんど働かず、逆に低すぎれば過剰な処理により自然な音のニュアンスが損なわれる可能性がある。そのため、VUメーターやピークメーターを視認しながら、耳と視覚の両方で最適値を見極めるスキルが求められる。また、最近のプラグインではスレッショルドと同時に自動ゲイン補正(auto make-up gain)やサイドチェイン入力との組み合わせによって、より洗練された音圧制御が可能になっている。特にエレクトロニックミュージックの分野では、キックとベースの共存を目的としたサイドチェインコンプレッションにおいて、スレッショルドの設定はグルーヴやリズム感そのものを左右する要素ともなり得る。

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