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ループ・レングス(loop length)

Posted by 有世犬

「ループ・レングス(loop length)」について、DTM用語の意味などを解説


ループ・レングス DTM用語

ループ・レングス(loop length)は、サンプリング・マシンなどにおけるループの長さのこと。ループ・ポイントからエンド・ポイントまでの長さを数値で表わしたものがそれにあたる。一般的に、ループ・レングスは4小節、8小節、16小節など2の冪乗で構成されることが多く、これは構造的な予測可能性をリスナーに提供し、安定したタイムフィールを生む。特に、キック、スネア、ハイハットから成るリズムセクションは、4小節単位のループで組み立てることで、明確な周期性を持たせることが可能となる。ベースラインもまた、この周期性に同期させることで、低域のモジュレーションにおける整合性が得られる。

DTMにおいてループ・レングス(loop length)の管理は、トラック全体の構造的整合性およびリズム的ダイナミクスを左右する極めて重要な要素である。特にループベースの制作環境、すなわちAbleton Live、FL Studio、Logic ProといったDAWにおいては、パターン単位でのループ設計がアレンジメント全体の骨格を形成する。

ポリループ構造の意図的構築

ポリループ構造の意図的構築

複数のレイヤー間におけるループ・レングスの不一致、すなわちポリループ構造を意図的に構築することで、リズムの位相差からくる変化感、予測不能性を演出することも可能である。これは特にIDMやグリッチ系に顕著であり、異なる拍数を持つパターンが複数同時に走行することで、非ユークリッド的リズム構造が生成される。ただしこの手法を用いる場合、グローバルテンポとの位相管理、すなわちループごとのフェーズアライメントが極めて重要となる。例えば5拍のシンセアルペジオと7拍のパーカッシブループをレイヤーする場合、それらが再び同期するまでには35拍(最小公倍数)を要し、その間にトラック全体の展開が破綻しないよう配慮しなければならない。

実験的手法を用いるにしても、まずはすべてのトラックにおいてループ・レングスを統一し、マスター・ループ構造を定義したうえで、意図的に逸脱するパターンを挿入することが望ましい。このように設計されたループ構造は、トラックの反復性を活かしつつ、動的な変化を可能にする。すなわち、ループ・レングスとは単なる時間の長さではなく、音楽的呼吸の単位であると言える。ループをただ繰り返すのではなく、構造的に「どの長さで、何を繰り返すか」を設計すること。それこそが、DTMにおけるグルーヴ・デザインの第一歩となる。

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