ベロシティ(velocity)
「ベロシティ(velocity)」について、DTM用語の意味などを解説
ベロシティ(velocity)=速度。音楽用語としては鍵盤を押す速さの意。一般には打鍵時のノート・オン・ベロシティ(リリース・ベロシティ)のことを指す。また、鍵盤から手を離すときの速さを検出し、ノート・オフ・ベロシティとして音色などのコントロールに使える機種もある。ベロシティは単なる音量制御データではなく、演奏者の表現意図を数値化するパラメータであり、MIDIベースの打ち込みにおいては、音楽的なニュアンスを加える上で不可欠な要素となっている。ノート・オン・ベロシティは、サンプルベース音源やシンセサイザーのアタック時の音量、音色、フィルターの開度、エンベロープの挙動などに影響を与える。ピアノ音源であれば、低ベロシティではソフトなタッチで繊細な音色が鳴り、高ベロシティではフォルテッシモに相当するアグレッシブなサウンドが再生される。
なお、一般に「ベロシティ」と言う場合、多くはこのノート・オン・ベロシティを指す。一方、MIDI仕様上は「ノート・オフ・ベロシティ」(=リリース・ベロシティ)も定義されているが、対応機器およびソフトウェアが限定されるため、実用上は前者のみが使われるケースが大多数である。
MIDIにおけるベロシティ(velocity)
MIDIにおける「ベロシティ(velocity)」とは、鍵盤を押下または解放する際の速度的情報を指し、主にノート・オン・ベロシティ(note-on velocity)として用いられる。これは、演奏者が鍵盤をどの程度の力・スピードで押し込んだかを数値化したものであり、0〜127の範囲で記録される。
ベロシティカーブ(velocity curve)
ベロシティカーブ(velocity curve)とは、MIDIキーボードやパッドなどの入力デバイスにおいて、打鍵の物理的強さ(入力)と実際に送出されるベロシティ値(出力)との対応関係を定義する曲線である。このカーブを調整することで、同じ打鍵圧でも異なるベロシティ値が生成され、演奏のレスポンスが変化する。多くのMIDIコントローラーやDAWでは、プリセットのカーブに加えてカスタムカーブの作成が可能であり、演奏スタイルや使用音源に応じた最適な応答性を追求できる。ベロシティカーブの適切な設定は、演奏の自然さと打ち込み精度の向上に直結する重要な要素である。
例えば、リニアカーブは入力と出力が等価である一方、コンベックス(鈍感)カーブでは強く弾かない限り高ベロシティが出ず、繊細な弱音表現に適している。逆に、コンケーブ(敏感)カーブは軽く弾くだけで高ベロシティが出力されるため、素早い反応を求めるジャンルや演奏者に好まれる。
「ベロシティ(velocity)とは」DTM用語としての「ベロシティ(velocity)」の意味などを解説
Published:2025/04/17 updated: