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タイミング・シフト(timing shift)

Posted by 有世犬

「タイミング・シフト(timing shift)」について、DTM用語の意味などを解説


タイミング・シフト DTM用語

タイミング・シフト(timing shift)

タイミング・シフト(timing shift)=クロック・シフト。DTMにおけるタイミング・シフト(timing shift)とは、MIDIノートやオートメーション、イベントなどの再生タイミングを、元の位置から前後に微調整する操作やその機能を指す。これは、ノートやコマンドがトリガーされるタイミングをミリ秒またはティック単位で前倒しまたは遅らせることにより、演奏のノリやグルーヴ、ニュアンスを微細にコントロールするために用いられる。クロック単位で発音のタイミングなどを前後にずらす機能。タイミング・シフトは単なるノート位置の変更ではなく、リズム構造と演奏表現に直接関与する創造的ツールである。DTM制作においてこの機能を意図的かつ精密に活用することは、機械的なシーケンスに生命感を与えるポイントとなる。

タイミング・シフト機能は、「クオンタイズ」と対比される概念でもある。クオンタイズがノートをグリッド上に揃えるのに対し、タイミング・シフトは意図的にそのグリッドからずらすことで、より人間的なフィールや、ジャンル特有のタイム感を再現するために利用される。たとえば、ドラムのスネアをわずかに後ろにずらすことで「ルーズ」な雰囲気を演出したり、ベースラインを前に寄せることで推進力を持たせたりするなど、音楽的表現に直結する。

DAW上では、タイミング・シフトは数値入力やスライダー操作、あるいはMIDIプラグインを介して設定することができる。単位はティック(1小節を分解した細かい単位)やミリ秒で指定され、ノート単位だけでなく、選択範囲全体やトラック単位で一括調整することも可能である。また、イベント単位で個別に調整することで、あえて機械的な精度を崩し、「ヒューマナイズ」された演奏感を加えることができる。特にジャンルによっては、このタイミングの微調整が音楽性に大きく影響する。たとえば、ファンクやヒップホップでは、ビートを「後ノリ」で感じさせるために一部の要素を遅らせる処理が定番であり、逆にテクノやEDMのようにタイトで正確なリズムが求められるジャンルでは、ノートを前に寄せることでエッジの効いたグルーヴ感を作り出す。

タイミング・シフトはオーディオトラックにも応用可能であり、DAWによってはオーディオイベントに対しても再生タイミングのオフセットを設定することができる。これにより、サンプルの発音タイミングや、外部MIDI音源とのレイテンシ補正にも活用される。

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「タイミング・シフト(timing shift)とは」DTM用語としての「タイミング・シフト(timing shift)」の意味などを解説

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