キュー(Q)
「キュー(Q)」について、DTM用語の意味などを解説
キュー(Q)
キュー(Q)は、主にイコライザーで使用され、音域を変更する幅の広さ表す。EQなどのパラメトリック処理における「Q値」、すなわち帯域の鋭さ(帯域幅)を示すパラメータである。EQにおけるQ(Quality Factor)は、特定の周波数帯域をブーストまたはカットする際に、その中心周波数の周囲をどの程度の幅で処理するかを定める指標である。数値が高い(Qが高い)場合は、非常に狭い帯域に対してピンポイントで作用し、逆にQが低いと、より広範囲の周波数に緩やかに影響を与える。たとえば、800HzをQ=10でカットすれば、ごく狭い範囲の中音域を精密に削ることができ、Q=0.7であればその周辺も含めてなだらかにカットされる。
この特性は、ミックス処理において極めて重要である。狭いQで不要な共鳴やノッチ(耳障りな特定周波数)を除去する際には、音質への影響を最小限に抑えることができる。一方、広いQを使えば、全体の音色バランスを自然に整えることが可能であり、例えばボーカルの明瞭度を上げたり、ドラム全体の輪郭を調整するのに向いている。さらに、オートメーションやダイナミックEQ、マルチバンド処理などと併用すれば、Qの設定次第で音の動的な変化を柔軟に制御することもできる。特に電子音楽やポストプロダクションの現場では、特定の瞬間にのみ発生する問題帯域を一時的に処理するテクニックとして、高Q値の自動制御が多用される。
DTMにおけるQの理解は、単なる数字の設定以上に、音像全体の印象や明瞭さ、密度のコントロールに深く関わる。耳で聴いて判断するだけでなく、視覚的なスペクトラムやEQカーブを確認しながら適切に調整することで、プロフェッショナルなミックスを実現することが可能となる。
なお、DTMにおける「キュー(Q)」とは、文脈によって複数の意味を持ち「キューイング(Cueing)」に由来する、再生や録音の準備を行うためのポイント設定を指す場合もある。
「キュー(Q)とは」DTM用語としての「キュー(Q)」の意味などを解説
Published:2025/04/15 updated: