DTM用語

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インプリメンテーション(implementation)

Posted by 有世犬

「インプリメンテーション(implementation)」について、DTM用語の意味などを解説


インプリメンテーション DTM用語

インプリメンテーション(implementation)は、ある目的に合わせてプログラムを作成すること(目的を満たすこと)。MIDI機器では各MD1情報に対してどのような動作をするかを表わしたものをMIDIインプリメンテーションといい、送受信可能なMIDI情報を一覧表の形で表わしたものをMIDIインプリメンテーション・チャートという。インプリメンテーションとは、一般的には「実装」や「具体化」を意味する言葉で、抽象的に設計された概念や仕様を、実際に動作する形に落とし込むプロセスを指す。ソフトウェア開発では、仕様書や設計書に記された機能をプログラムコードに置き換えることを「インプリメンテーション」と呼びます。つまり「計画」や「理論」に対して「現実に動くものへ変換する」段階がこれにあたる。

DTMにおいても、この用語は頻繁に登場し、たとえば、MIDI規格そのものは仕様として定義されているが、各メーカーのシンセサイザーやDAWがそれをどのように実際の機能に組み込むかは「MIDI implementation(MIDI実装)」と呼ばれる。ある機材がMIDIの全てのコントロールチェンジに対応しているとは限らず、音色切り替えやベロシティには対応するが、特定のエクスプレッションには対応しない場合もある。このような「どの部分をどのように実装しているか」を示すものが、MIDI implementation chart(MIDI実装表)である。MIDI接続する機器のMIDIインプリメンテーション・チャートを比較することにより、両MIDI機器でやり取りできるMIDI情報を確認することができる。

インプリメンテーションとは翻訳作業ではなく、理論や規格を基盤として実際の動作や操作性を形にする重要な工程である。DTM機材やソフトウェアを扱う際には、その仕様のみならず「実際にどのように実装されているか」を理解することが、効率的な活用に直結する。

MIDI implementation chart

MIDI implementation chart とは、特定のハードウェア音源やソフトウェア音源、あるいはシーケンサーが、MIDI規格のどの部分をどのように実装しているかを一覧形式で示した表である。

MIDIは国際規格として定められているが、すべての機材が規格の全機能に対応しているわけではなく、メーカーごとに対応範囲や挙動が異なる。そのためユーザーは、実際に使用する機材のMIDI implementation chart を確認することによって、利用可能な機能を把握し、適切な運用を行うことができるのである。

この表では、MIDIメッセージの種類ごとに「受信可能(Receive)」か「送信可能(Transmit)」か、または「非対応」であるかが示される。

たとえば「Note On/Off」や「Velocity」はほぼすべての音源が対応しているが、「Aftertouch」「Pitch Bend」「Control Change #64(ダンパーペダル)」などは機材によって対応が異なる。また、プログラムチェンジによる音色切り替えが可能かどうかや、システムエクスクルーシブ(SysEx)にどの程度対応しているかも明記される。

実際に読み取る際には、まず自分が必要とする表現や操作、すなわち演奏時のニュアンス付けやオートメーション制御に関わる部分が対応しているかを確認することが重要である。特に、コントロールチェンジ番号(CC)の対応範囲は機材によって差が大きく、モジュレーションホイールやエクスプレッションペダルを活用したい場合には必ず確認すべきである。

MIDI implementation chart は単なる仕様書の付属資料ではなく、その機材の「MIDIによる操作可能性」を明確に可視化したドキュメントである。DTM環境において複数のハードウェアやソフトウェアを連携させる場合、このチャートを正しく理解し、実際の接続やオートメーション設計に反映させることが、安定した制作環境の構築につながる。

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